トップページ > オーディオ >

2010年7月29日更新  いい音楽を聴きたい―1

CDの雲にのって空高く―2


『アンサンブルを奇麗に響かせるために。』


 オーディオコラム第2回。
 前回は、CDをより良い音で聴く為の「事前メンテナンス編」で今回は、CD再生直前の「再生準備編」である。
 これで、音楽の森の奥深くまで散策できるのだ!

 ジャズやロックのオーディオ再生において重要なポイントは、スネアドラムの響きである。まるで心臓の鼓動のように、音楽の基本的なリズムを軽快に刻んでいくスネアドラム。音楽に命を吹き込んでいるといってよい。そのリズムを充分に鳴り響かせる空間が保てるか否かで、生きて呼吸する音楽の迫真性は大きく変わる。スネアドラムは、ジャズコンボやロックバンドの演奏の録音では埋もれがちな楽器だ。バスドラやベースなど特に低音を掌る楽器など、ダイナミックな音の出るパーツにどうしても負けてしまう。音の固まりの中に溶け込んでしまいがちなのだ。モノラル録音においては特にそれが顕著である。ベーシックな音の土台を担うスネアドラムのリズミカルな音の響きが奇麗に出ていれば、アンサンブル全体も美しく共鳴し合っているといってよい。スネアドラムの響き具合は、音が濁らずにそれぞれの楽器の響きが活かされているかどうかのひとつのバロメーターなのである。クラシック音楽のアンサンブル(特にオーケストラ)においては、木管楽器の響きが肝心である。人間の自然な呼吸のように、優しく吹き抜けるのが木管楽器の奏でる響きだ。息の詰まらないスムーズな呼吸のできる充分な空間が得られれば、演奏は生きもののように部屋のなかを舞い始めるはずだ。

 そのために、前回紹介した方法は主にCDを「洗浄する」ことであった。個々のディスクには見えない汚れや静電気、磁気など、様々な付着物が纏わり付いている。まずその汚れを落とすことに主眼を置いたのだ。単純に洗うだけでもよい。これだけでも効果が大きいはずである。(この時点で何も変化が感じられない場合は、1週間程ディスクをそのままにしておいて洗浄の際に付着した静電気が放電されるのを待つとよい。その後においても効果を得られなければこのページで提示されるほとんどのノウハウが通用しないと思われるので、縁がないと思ってあきらめるしかないが。)

 今回は、CDプレイヤーを再生する直前に行うメンテナンス作業について提案してみたい。その重要性はLPなどのアナログ盤の再生の際にクリーナーで入念にホコリを除去したり、針先の汚れや静電気を除去する手間と同様のものである。(但し、道具にある程度コストがかかるので、以下の方法は是非にとまでは薦められないが。)
 
 「洗浄する」の次に効果が大きいのは「静電気の除去」である。静電気はデータ読みとりの際に少なからぬ影響を与えている。それが確実に音の濁りに繋がっているのだ。ドライカーボンによるコロナ放電を利用した静電気を簡単に除去するといわれる「サウンドスタンプ」という製品は、これだけでも充分なくらいの効果がある。

サウンドスタンプ
CDのレーベル面を十字に軽くタッチする


「SK-CD」というCD専用の帯電イレーサーを併用すれば、静電気に関しては、ほぼ完璧な対策がとれる。再生前に3〜5分程、このケースにディスクを入れ蓋を閉じる。取り出すときに帯状のZERO SHOTに指が触れれば、その瞬間ディスクが帯電していた静電気はゼロになるというもの。メーカーの説明によれば、接触しなくとも空気中に放電を開始する素材を内部に使用しているという。

SK-CD


 さらに完璧を期すなら最終的には、ディスクに付着した「磁気を除去する」とよい。ディスクには様々な工程で磁気が付着しており、これも静電気ほどではないが、データ読みとりの際に影響を与えている。アコースティックリヴァイヴの消磁器RD-3は、その代表的製品の最新型である。少々値がはり、正直効果は微妙で、高いレベルの読み取り能力をもつプレイヤーでの再生でなければあまり期待はできない。極まれば音はよりクリアになり、この上ないサウンドが得られる。ディスクの前処理としてはこれで完成の域に達するはずである。

アコースティックリヴァイヴの消磁器RD-3


 ◎上記の製品はいずれも、オーディオ専門店で簡単に入手できる定番商品である。検索すれば一般的なネット通販でも入手可能なはずである。

 最後に、タダでできる音質向上対策をひとつ。「ディスク2度掛けの術」である。(麻倉怜士著「オーディオの作法」参照)
 1)CDを普通にCDプレイヤーに入れる。
 2)CDプレイヤーがCDを認識したら、すぐにEJECTし、トレーから出さずにそのままPLAYボタンを押して再生する。
 それだけ。天ぷらの二度揚げみたいな方法である。麻倉怜士という人が提案している。「都市伝説に近くて根拠はないが、効果はディスクメーカーの人も認めている。」一度認識したデータだから、2度目にはロスなくスムースに読み取るせいじゃないか、と。但し、何回も出し入れすればいいってものでは無くて、3度以上入れ直すと入れ直さず再生するよりかえって悪くなるというからますます不思議である。試してみると僅かだが効果は確実にあった。音がゆったりとおおらかで豊かな感じになった。

 もちろん高価なハイエンドCDプレイヤーで再生するに越したことはないが、最近の技術の進展はめざましいものがあるので余程古い機種でない限り、上記のようにCDディスクのメンテナンスと再生の際の手間を惜しまなければ驚くばかりの演奏が、スピーカーから飛び出してくる可能性がある。
 人生何でも一度はやってみようと思い、ダメ元みたいな気持ちでそれぞれをトライしてみた。少なくともここに紹介したものは全てに効果が認められた方法である。
―いずれまた、つづく―